無題

まだ冬の風が残っているのか、それとも風が春になりきれていないのか、頬を撫でる風が少しだけ冷たく感じる。

23時。

昼間の喧騒が嘘のように消えて、光に溢れた街が眠りにつく頃。

仕事という名の枷から一瞬だけ解放され、残酷にも一定のリズムで時を刻み続ける針を呪いながら、ぼんやりとした月明かりに向かって、煙草の煙を吐き出す。

まるで身体の中から魂が抜けていくように、紫煙は空へと溶けていった。

 

お仕事に行きたくないです。